こんにちは、お布団の中の勇者ヒキコ・モリです。
アマゾンでお買い物をしたらプライム・ビデオのクーポンをもらいました。そこで勇者も戦いの手を休め、映画鑑賞することにいたしました。
今回セレクトしたのは、全世界販売部数4億部超えの大ヒットファンタジー「ハリー・ポッター」シリーズのスピンオフ作品「ファンタスティックビーストと魔法使いの旅(字幕版)」。
舞台をイギリスからニューヨークに移し、アカデミー俳優エディ・レッドメインを主役に迎えたハリポタファン待望の新シリーズです。
スピンオフだから正直あんまり期待していなかったのですが、面白かったです。
原作者のJ・K・ローリングが原作を書く前に映画化された初めての作品ということで、本編とは雰囲気がだいぶ違いました。
時代設定は、ハリー・ポッターが誕生する70年前の1920年代。この頃のアメリカは、兵器の製造や輸出で大儲け。「華麗なるギャッツビー」に象徴されるバブリーな時代でしたが、豊かさの裏に、貧困や差別の暗い影があります。
ちなみに、主人公のニュート・スキャマンダーはホグワーツ魔法学校の授業で使われていた教科書「幻の動物とその生息地」の編纂者←けっこうマニアックなキャラでした。
映画の第一印象は、画面が暗い!
暗い時代を反映するように、空は終始どんよりとした鉛色。ニューヨークの街が主な舞台なので、ビルや建物の中のシーンが目立ちます。残念ながらホグワーツ城のような荘厳な建築物は出てきません。時代は古いはずなのにハリポタ本編より近代的な感じがしました。
「大人向けのファンタジー」と言われるだけあって、全体的に色調は抑えめ。照明を暗めにしたほうが画面がよく見えると思います。
ストーリーに関しても、子供が見たら退屈かな~、と思うところがありました。
ハリー・ポッターはいじめられっ子ですが、魔法界に行けばヒーローです。悪の魔法使いヴォルデモート卿を撃退した武勇伝を持ち、人気競技・クィディッチのスター選手でもあります。
本編にはドキドキハラハラするクィディッチの試合や、年末の寮杯授与など、子供が見て楽しいシーンがたくさんあります。
それに比べると、ニュートは特別な魔法が使えるわけではないし、基本的にはみ出し者。ちょっと魅力が伝わりにくいかもしれないですね。バトルのシーンでも、パトローナムみたいな派手な呪文は出てきません。
ただ、魔法生物のVFXは流石です。本当に生きているみたいで、しかも可愛い。動物好きなら胸がキュンとするでしょう。ニュートの仲間になる非魔法使いのおじさんも、負けず劣らずキュートです。
最後まで、もやもやが残ります
子供におすすめしないもう一つの理由は、見終わっても気持ちがもやもやして、すっきりしないことです(劇中で実際にもやもやする物体も出できますが)。
シリーズ化が決まっているので、次回以降に持ち越すつもりなのでしょう。
それはわかる、わかるんだけど、ひとこと言いたい。
本編から続く「生まれの悪い人はずっと不幸」みたいな流れ、辛い……。この点に関してだけは、J・K・ローリングとは相容れないものがあります。
イギリスが階級社会であることは承知していますが、せめて物語の中では別の展開があってもいいんじゃないかなあ。
ハリーの頑張りは認めます。でも、最初から親の財産とコネがありましたよね。そのうえでの努力です。底辺育ちのひきこもりとしては、この辺で良い意味での裏切りがあってほしいです。
ファンタビの悪役は、ある意味ヴォルデモートより質が悪くて嫌でした。悪の道に誘う手口が妙にリアル。怪しい宗教の勧誘ってこんな感じだろうな……と思いました。この辺も大人向けの表現です。ヴォルデモートは何でも正直に言うわかりやすい悪役でしたからね。
本編を見るとより楽しめます
この映画を単体で見ても話がわかるように作られています。が、ハリポタ本編で使われている魔法用語や呪文が出てくるので、併せて見ることをおすすめします。
本編では非魔法使いを「マグル」といいますが、ファンタビでは「ノー・マジ」と呼ぶなどの違いがあって、比べてみると面白いですよ。とくに「ホグワーツ」や「ダンブルドア」が何を意味するのかわからないと勿体ないです。
プライム・ビデオ版はエンドロールの後にメイキングの特典映像付きでした。
CGスタッフが「観客が我々の仕事に気づかないことが成功だ」と言っていたのですが、これは良い文章にも通じますね。「上手い」と言われるようではまだ修行が足りない。読者が余計なことに気を取られず、最後まで読んでくれたら上出来です。